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「教育」対談 千代松大耕 泉佐野市長・山田啓次 大阪産業大学准教授

 グローバル化や少子高齢化など社会環境が急激に変化する中で、学校教育においても時代に合った変革が求められている。高度・複雑化する諸課題に対応するため、国際的視野を持つ人材、創造性豊かな人材、さらには思考力・表現力・判断力などに優れた人材などを育成していくことが課題となっている。そこで、独自の発想により初中等教育の改革を進める泉佐野市の千代松大耕市長と、大阪府立佐野工科高校で長年にわたり教鞭をとり、泉佐野市と深い関係を持つ山田啓次大阪産業大学准教授の2氏に出席を願い、「教育」をテーマに語っていただいた。
 

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―初めに、山田先生は今年3月まで佐野工科高校の定時制准校長をされていたが、泉佐野市は山田先生とはどういった関係が…。

千代松 山田先生は創造的人材育成をテーマとした実践的研究で博士号を取得されているが、現在、市立第三小学校において山田先生の指導によりプログラミング教育やICTを活用した教育方法を導入している。

山田 コンピューターなどの発達によって、単一的な労働は機械に取って代わられる世の中になっている。これにつれ、人間の仕事というのは創造的で、かつ複雑な思考を要するものとなりつつある。こうしたことに対応し、2020年度から小学校ではプログラミング教育が必修化されるが、方法や効果についての蓄積は少ない。私は創造性教育のひとつの方法として、センサーを用いてモータやライトを制御するロボット・プログラミングを推進しており、その有効性について探求している。

千代松 市の行政として教育に関係するのは小中学校だが、当市では佐野工科高校のほか、府立佐野高校とも連携を強めている。最近では、中国・成都市で開かれた音楽祭に佐野高校軽音楽部の生徒3名を当市から派遣した。市内にある府立高校とも仲良くさせてもらっている。

―少子化により、全国的に小学校の小規模化が進んでいる。泉佐野市の現状は。

千代松 小規模な小学校は市内に3校あるが、この3校を特認校として特色を持たせた教育活動を展開している。第三小学校はデジタル教科書やタブレットを使用して学習するICT教育を行っているが、佐野台小学校では日本体育大学との交流による「生きる力を育むための体づくり」を特色とした教育を行っている。このほか、大木小学校は自然豊かな環境で学べることが特色。3校とも市内全域から入学・転学することができる。特色ある教育を行う中で、子どもたちの可能性を伸ばしていきたいと考えている。

山田 泉佐野市で22年間勤務したが、そこで感じたのは、泉州地域は素朴で素直な人柄が特徴で、苦言を呈せば変革の気質が乏しいということ。温暖な気候が農業や水産業の豊かな恵みをもたらし自然災害も少ないという裕福な土地柄ゆえ、改革の必要がなかったのかもしれない。このことが大阪の地域間学力格差にもつながっているのではないか。ただ、産業構造の変化は穏やかな泉州の地にもやってきた。泉州を発展させる創造的人材の育成は喫緊の課題であり手段の一つとして実務系総合大学の誘致を考えたい。多様な学びを提供する総合大学を誘致し小学校から大学まで連携すれば、文化水準の向上にも寄与する。

―関西国際空港からのインバウンド(訪日外国人観光客)が引き続き好調だ。インバウンド対応ということを教育面から考えると。

千代松 好調なインバウンドを背景に、稼働率6割が採算ラインと言われるホテルも、泉佐野市内では8―9割の稼働率になっているようだ。LCC(格安航空会社)は早朝・深夜の便が多いため、泉佐野市は宿泊拠点となっている。したがって、インバウンド面では京都、奈良、和歌山などを観光する拠点として泉佐野市を機能させたい。今や、泉佐野市の子どもたちは外国人を見ても驚かず、抵抗感もなくなっている。今後は、英語などによる国際的な教育環境を整備していきたいと考えている。

山田 インバウンド対応の職業については地域内で人材を育成することが必要。大学が泉州地域にサテライトを開設し、そうした人材の育成を担うことも良いのでは。まちの活性化は、すべての市町村が考えていることだが、小学校から創造性教育に力をいれることによって住民全体の創造性が高まり、未来永劫繁栄するまちづくりが可能となる。

(おわり)


写真左=千代松大耕氏
2000年2月から泉佐野市議会議員を務めた後、2011年4月から泉佐野市長。同志社大学経済学部卒。米国リンカーン大学、大阪府立大学、和歌山大学の各大学院修了。

写真右=山田啓次氏
大阪産業大学全学教育機構教職教育センター准教授。研究テーマ=▽創造性教育と製品開発▽組込マイコンによるプログラミング教育の評価。2016年に大阪市立大学博士号(創造都市)
 

  2018/08/04   Web担当
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